ビットコインやアルトで含み益が増えてくると、ちょっとニヤッとしてしまいますよね。でもその次の瞬間、頭をよぎるのが──
「これ、税金いくら取られるんだろう…」「20万円以下なら大丈夫って聞いたけど、本当?」
そんな“うれしい不安”を抱えている人に向けて、この記事を書いています。
ここでは、
- 会社員として個人名義で投資している人
- 個人事業主(フリーランス)や副業で事業をやっている人
をメインに、
- 20万円以下
- 200万円
- 300万円
- 500万円
という利益ラインごとに、「どんな税金が、ざっくりどれくらいかかるのか」を一緒に整理していきます。
・暗号資産の税金は「いくら勝ったか」だけでなく、「どんな立場(会社員か個人事業主か)で、いくら他の収入があるか」で大きく変わります。
・まずは“自分がどのタイプか”を意識しながら読み進めてみてください。
「税金が怖いから利確したくない」という声、本当に多いんです。でも、仕組みを知ると、“怖さ”はだいたい“気をつけるポイント”に変わっていきます。この記事は、その変わる瞬間を一緒に作るためのガイドだと思って読んでみてくださいね。
第1章|暗号資産の税金の「土台」をサクッと整理
1-1. 暗号資産の利益は、原則「雑所得」スタート
日本では、個人がビットコインやアルトコインを売買したり、暗号資産で決済したりして得た利益は、原則「雑所得(その他)」に区分されます。
- 会社員:給与所得+暗号資産の雑所得を合算して所得税を計算
- 個人事業主:事業所得+暗号資産の雑所得(または事業所得)として合算
雑所得は「総合課税」の仲間なので、
- 所得税:5〜45%の累進課税
- 住民税:原則一律10%前後
がドーンとかかってくる世界線です。
・暗号資産には「一律20%」のような分離課税ルールは、まだ個人向けには導入されていません(2025年12月時点)。
・「あなたの他の収入」と合算して税率が決まる、というのが今の日本ルールです。
「ビットコイン税率○%」みたいな言い方を見かけたら、ちょっと疑ってみてほしいんですよね。
税率じゃなくて、“自分の年収帯+暗号資産の利益”で見るのが現実的な視点です。
1-2. 20万円ルールってなに?「会社員だけ」が使える特例
よく話題になる「20万円ルール」。これは主に会社員(給与所得者)向けのルールです。
ざっくりいうと、
- 給与を1か所からだけ受け取っていて
- 年末調整も済んでいて
- 給与以外の所得(雑所得や副業の収入など)の合計が20万円以下
この条件を満たす人は、所得税の確定申告をしなくてもよい、というものです。※あくまで「申告義務」が免除されるだけで、「税金がゼロになる」わけではありません。
一方で、
- 個人事業主になっている人
- 給与を2か所以上から受け取っている人
などは、基本的にこの「20万円ルール」は当てはまりません。
・20万円ルールが効くのは、「1社から給与をもらっている会社員」など限定された人だけ。
・しかもこれは所得税の確定申告を免除する特例であって、「税金がかからない」という話ではありません。
「20万円以下だからノー申告でOKでしょ?」というセリフ、SNSで何度も見ました。でも、“大丈夫”と“バレてないだけ”は違うんですよね…。
1-3. 住民税は別レーン|20万円以下でも「完全ノータッチ」は危険ゾーン
もうひとつ大事なのが 住民税 です。
所得税の20万円ルールはあっても、住民税には「20万円以下だから申告不要」という特例は原則ありません。
- 暗号資産の利益を含めた所得は、住民税の計算にも影響
- 「所得税の確定申告をしなくていい人」も、市区町村への住民税申告が必要になるケースが多い
「会社にバレたくないから、そもそも何も申告しない」は、将来的に延滞税や加算税のリスクもある、けっこう危険な選択なんですよね。
・20万円ルールは“所得税だけの話”。住民税は別レーンで走っています。
・住民税の申告方法(普通徴収/特別徴収)を税務署や市区町村窓口で相談することで、「会社にどう伝わるか」をコントロールできる余地もあります。
住民税の封筒って、ちょっとドキッとしますよね。
でも、ちゃんと申告して内容がわかっている封筒は、そこまで怖くありません。怖いのは「心当たりがない請求」です。
第2章|会社員と個人事業主でここまで違う
2-1. 会社員×暗号資産投資の場合
会社員の方は、基本的に本業の給与所得+暗号資産の雑所得を合算して、所得税と住民税が決まります。
整理すると:
- 暗号資産の利益は雑所得(原則)
- 給与所得と合算して総合課税
- 「給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告不要」の特例あり
- ただし住民税の申告は原則必要
つまり、会社員は「少額のうちはちょっとだけラク」ができる一方で、
- 200万・300万・500万と利益が増えてくると、給与と合算されて一気に税率が上がる
という構造になっています。
・会社員は「20万円以下は申告不要」という特例がある一方で、利益が大きくなると給与と合算されて“跳ねやすい”立場でもあります。
「少額のうちは会社員有利」「大きく勝ち始めると会社員はやや不利」──この感覚を持っておくだけで、利確のタイミングを考える視点がひとつ増えます。
2-2. 個人事業主・フリーランス×暗号資産投資の場合
個人事業主は、そもそも毎年確定申告をするのが前提の世界です。
- 「20万円ルール」はほぼ関係なし
- 暗号資産の利益は
─ 原則:雑所得(その他)
─ ただし一定の条件で事業所得扱いの可能性も
◆ 300万円+帳簿で「事業所得」の可能性
国税庁の資料では、暗号資産取引の収入が年間300万円を超え、その取引について帳簿を保存している場合には、原則「事業所得」とするという整理が示されています。
逆にいうと、
- 300万円超えでも帳簿をつけていない → 雑所得(業務)扱いが原則
- 300万円以下でも、社会通念上「事業」といえる実態があるなら事業所得になり得る
事業所得になると、
- 青色申告特別控除(最大65万円)
- 他の事業との損益通算
- 赤字の繰越控除
など、使えるカードが一気に増えます。
・個人事業主は「少額でも基本は申告」。その代わり、帳簿をきちんと付けていれば有利なルールも多い。
・暗号資産が“事業の一部”として機能しているなら、事業所得を検討する価値ありです。
「数字の波に飲まれず、“流れ”を感じ取ることが大切なんですよね。」
個人事業主の暗号資産投資はまさにそれで、単発の勝ち負けではなく、“事業全体のお金の流れ”の中に位置づけてあげると、税金の意味も変わって見えてきます。
2-3. 法人(合同会社・株式会社)は“別ゲーム”なので軽く整理だけ
法人化した場合は、
- 暗号資産は法人の資産
- 利益は法人税の対象
- 期末に時価評価(含み益に課税)されるケースもある
など、個人とはルールがガラッと変わります。
ただこの記事では「個人」を厚めにするので、法人については:
- 実効税率はおおむね30〜35%前後と言われる
- 会社に利益を残す分には有利な場面もある
- ただし自分にお金を出すときに、給与や配当として個人課税がかかる(二段階課税)
- 期末評価課税で、キャッシュは増えてないのに税金だけ発生するリスクも
──とだけ押さえておいてください。
「法人にした方がいいか?」は、金額と将来のビジョン次第で判断が変わるテーマなので、ここでは軽く触れるにとどめます。
第3章|20万円以下・200万・300万・500万──金額別の“ざっくり”シミュレーション
ここでは、あくまでイメージを掴むためのざっくりシミュレーションをします。
- モデル:年収380万円の会社員
- 暗号資産の利益:経費などを引いた後の「最終的な利益額」と仮定
- 社会保険料・細かい控除はシンプル化
実際の税額は、人によってかなり変わります。ここでは、「何割ぐらい持っていかれそうか」の感覚を掴むことを目的にしています。
3-1. 利益が20万円以下の場合
◆ 会社員の場合
- 給与以外の所得が20万円以下 → 所得税の確定申告は不要になる可能性
- ただし、住民税の申告は必要になりやすい
たとえば暗号資産の利益が15万円だったとすると、
- 所得税:申告不要の特例でスルーできるケースあり
- 住民税:原則として10%前後 → 約1万5,000円のイメージ
◆ 個人事業主の場合
「20万円以下だから申告不要」は、基本的に関係ありません。
他の事業所得などと合算し、基礎控除(48万円)を超えた分に課税されていきます。
・20万円以下で「ちょっと気楽でいられる」のは、ほぼ会社員だけ。
・個人事業主は少額でも“数字は全部現実”として申告する世界です。
「少額だからいっか」とスルーしたくなる気持ち、すごくわかります。でも、小さい金額を正しく扱える人ほど、大きな金額にも耐えられるんですよね。
3-2. 利益200万円の場合
年収380万円の会社員+暗号資産利益200万円、というケースをイメージしてみましょう。
- 課税所得のレンジにもよりますが、追加の税負担のざっくり感覚は「20〜30%前後」になることが多いです。
- つまり、200万円の利益に対して、40〜60万円くらいは税金で出ていくイメージ。
個人事業主で、暗号資産を事業所得として計上できた場合は、
- 経費
- 青色申告特別控除
- 他の事業との損益通算
などが効いてくるので、同じ200万円の利益でも、手取りが変わってくる可能性があります。
・200万円ラインは、「初めて税金の重さをリアルに感じる」ゾーン。
・会社員は「給与と合算されて税率が上がる」ことを意識。
・個人事業主は「経費・控除・通算でどこまで軽くできるか」がポイントになります。
「利益が200万円を超えたとき、多くの人が初めて『あれ、思ったより残らない…?』と気づきます。」
その違和感はすごく大事で、ここで一度“税金込みでの利確戦略”を考え直せるかどうかが分かれ目になります。
3-3. 利益300万円の場合
300万円あたりから、ちょっと話が変わってきます。
- 年収380万円の会社員の場合:税率のステップアップをかなり意識するゾーン
- 個人事業主:300万+帳簿ありなら、事業所得として扱える可能性が高まるゾーン
会社員の場合、利益300万円だと、
- トータルの所得がそれなりに高いレンジに入り、一部が30%前後の税率帯に乗ってくることも
- 追加の税負担は、ざっくり30%前後(90万円くらい)を覚悟するイメージ
一方、個人事業主で事業所得として認められるレベルの取引なら、
- しっかり帳簿を付けていること
- 継続的・反復的に取引をしていること
- 事業としての実態があること
などを条件に、
- 青色申告控除
- 他事業との損益通算
- 翌年以降への繰越控除
といった“事業用の武器”が使えるようになっていきます。
・300万円ラインは「事業として扱うかどうか」を考える分岐点。
・会社員は「このまま個人でいくのか、副業を事業化していくのか」を考え始めるタイミングにもなりやすいです。
300万円を超えたあたりから、税金は“他人事”ではなく“戦略”になります。
「自分はいつまで会社員メインで行くのか」「投資をどう位置づけるのか」──ライフプランと税金が静かにつながり始めるゾーンです。
3-4. 利益500万円の場合
「500万円勝った」というのは、かなりインパクトのある数字ですよね。
年収380万円の会社員+暗号資産利益500万円だと、
- 合計所得はかなり高いレンジに入り、一部は高い税率帯に近づく可能性も
- 住民税10%を合わせると、最大で55%程度の税率がかかりうる世界
- 実際には控除などもあるので、ざっくり30%前後〜それ以上の負担というイメージになります
「500万円勝ったはずなのに、なんだか気持ちよくない…」という感覚が出てくるのは、ある意味当然なんですよね。
個人事業主で、暗号資産を事業所得にできている人なら、
- 経費・控除・損益通算の余地
- 複数年に分けた利益のコントロール
などで、同じ500万円の利益でも「手残り」と「メンタル」に差が出てきます。
・500万円ラインは、「税金を前提にした利確戦略」を持っていないと、メンタルが揺さぶられやすいゾーン。
・年またぎ分散利確など、「時間で分散する」という発想も、このレベルから重要になってきます。
相場はコントロールできません。でも、「いつ・どれくらい利確するか」は、唯一私たちが選べるところなんですよね。
だからこそ、税金を知ることは、“利確ボタンを押す自分”を守ることだと思っています。
第4章|「会社にバレたくない」より大事なこと──住民税と向き合う
暗号資産の税金相談で、とても多いのがこの悩みです。
「会社にバレたくないんですけど、どうしたら…?」
4-1. 会社にバレるのは、だいたい住民税ルート
会社員の場合、
- 所得税 → 年末調整 or 確定申告
- 住民税 → 原則として給与からの天引き(特別徴収)
という流れになっているので、
- 前年の所得より明らかに住民税が増えている
と、会社の経理担当が「何か副収入があったのかな?」と気づくケースはあります。
ただし、多くの自治体では、
- 住民税を「普通徴収」にしてもらう(自分で納付書で払う)
という選択肢も用意されています。これは、税務署や市区町村の窓口で相談できるポイントです。
・「会社にバレるかどうか」は住民税の徴収方法が大きく関わってきます。
・ただし、「バレたくないから申告しない」は完全にNG。延滞税+加算税+心理的ストレス、どれもコスパが悪すぎます。
住民税の封筒が怖くなくなった瞬間、投資はようやく“攻め”に集中できるステージに入ります。
「会社にどう見えるか」よりも、「未来の自分にどう胸を張れるか」をベースに考えてみてほしいな、と思います。
第5章|これから税制が変わるかもしれない、その前にできること
5-1. 将来「一律20%前後」になるかもしれないけれど
2025年現在、日本では、
- 暗号資産の利益を株やFXと同じような「申告分離課税(約20%)」にする案
- 損失の繰越控除を認める案
などが、業界団体や金融庁、自民党のプロジェクトチームから提案されています。
もし本当に実現すれば、
- 今の最大約55%の総合課税から
- 一律約20%前後へ
と、かなり環境は変わります。
ただしここで大事なのは、
- 「いつから」「どこまで」変わるかは、まだ決まっていないこと
- 過去の取引にさかのぼって有利に適用される可能性は低いと見られていること
です。
5-2. 「変わるかもしれない未来」に備えるために、今できること
- 取引履歴をきちんと保存・エクスポートしておく
- 損益計算ツール(国内取引所や外部ツール)を早めに触ってみる
- 1年を通してどれくらい利確したのか、ざっくり把握する習慣を付ける
- 利益が大きく出始めたら、税理士に一度だけでも相談してみる
・制度改正は“追い風”になるかもしれませんが、「今のルールでどう守るか」を放置していい理由にはなりません。
・記録を残しておけば、制度が変わったときにもスムーズに対応できます。
ルールが変わるのを待ちながらも、淡々と記録をつけている人が、結局いちばん得をしていく気がしています。
「未来の税制に期待しつつ、今できる準備だけはちゃんとしておく」──それくらいの温度感が、心にもお財布にも優しいバランスなんじゃないかなと思います。
第6章|まとめ──“いくら勝ったか”より、“いくら守れたか”
最後に、この記事のポイントをギュッとまとめますね。
- 暗号資産の利益は、原則「雑所得」。会社員も個人事業主も、他の所得と合算して課税されます。
- 会社員の「20万円ルール」は、所得税の確定申告を免除する特例であって、「税金ゼロ」ではありません。住民税は別レーンです。
- 個人事業主は、少額でも申告が前提。その代わり、帳簿を付けていれば事業所得としてのメリットも使いやすくなります。
- 20万円・200万・300万・500万と利益が増えるにつれて、「税率」と「心理」の両方の負担が変わっていきます。
- 「会社にバレたくない」よりも、「未来の自分に胸を張れるか」をベースに、住民税や申告と向き合っていきたいところです。
そして何より伝えたいのは、
「いくら勝ったか」より、「いくら守れたか」で投資を語ってほしいということ。
税金は、その「守る力」の一部です。
この記事を読み終えた今、
あなたは次に大きな含み益が出たとき、
- 「税金込みで、このタイミング・この金額で利確しよう」
と、一歩踏み込んだ判断ができるはずです。
そのときに、今日のこの時間が、きっとあなたを助けてくれると思います。
FAQ|暗号資産の税金と住民税、よくある質問
Q1. 暗号資産の利益が19万円なら、本当に何もしなくていいですか?(会社員)
A. 所得税の確定申告は不要になるケースが多いですが、住民税の申告が必要な場合があります。
「住民税をどう申告するか」「普通徴収にできるか」などは、自治体や税務署に確認するのがおすすめです。
Q2. 副業の収入と暗号資産の利益、20万円ルールの判定は合算ですか?
A. はい、給与以外の所得の合計で20万円ルールを判定します。
副業の雑所得(または事業所得)と暗号資産の雑所得を足して20万円を超えるなら、原則として所得税の確定申告が必要と考えておくと安心です。
Q3. 個人事業主ですが、暗号資産の損失は他の事業の利益と相殺できますか?
A. 暗号資産の取引が事業所得に該当すると認められれば、他の事業所得と損益通算できる可能性があります。
ただし、「どこまでが事業と言えるか」の判断は難しいので、税理士に相談しながら進めるのが安全です。
Q4. 海外取引所やDEXの取引も、日本で課税対象になりますか?
A. はい、日本に居住している限り、海外取引所やDEXの取引も含めて日本で課税対象になります。
「海外だからバレない」は完全な誤解なので、必ず履歴を保存しておきましょう。
Q5. 税理士さんに相談するのは、いくらぐらい利益が出たタイミングがいいですか?
A. 個人的には、「年間の利益が200万〜300万円に近づいてきたら、一度相談」をおすすめしています。
このあたりから、事業所得や法人化も含めた選択肢が見え始めるので、プロの意見が効いてくるゾーンです。
情報ソース・参考リンク
※以下は本文執筆時点で参照した主な情報源です。最新情報や個別のケースについては、必ず公式サイト・専門家の確認をお願いします。
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
- 国税庁タックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」「No.2020 確定申告」「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」など
- 国税庁「雑所得に関する通達」
- 大手銀行・暗号資産取引所・税理士法人などの暗号資産税制解説記事
- 暗号資産業界団体・金融庁・取引所各社の税制改正要望・解説記事 ほか
本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の投資行動や申告方法を推奨するものではありません。
実際の税額や最適な申告方法は、収入状況・家族構成・他の控除などによって大きく変わります。必ず最新の法令・通達を確認し、必要に応じて税務署や税理士などの専門家にご相談ください。

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