ビットコインは円高と円安、どちらに強い?──為替が動くたびに変わる“見えない綱引き”と買い判断のヒントを徹底解説(前半)

円安が進む朝は、なんとなくニュースアプリの数字が赤く見える。
円高の夜は、SNSの投資家たちが少し落ち着いた声で語っている。

気づけば、為替が動くたびに
“自分のビットコインまで揺れている気がする”
——そんな感覚を持ったこと、ありませんか?

実はそれ、気のせいではありません。

ビットコインの価格は世界標準で「ドル」で決まります。
それを私たち日本人は「円」に換算して見ている。
つまり BTC の値動きの裏側では、
ずっと「ドル」と「円」の見えない綱引きが続いているんです。

“為替の一滴が市場の心理を変えていく瞬間”を今までに何度もありました。
円が強くなると、自信を取り戻したように市場が呼吸しはじめる。
円が弱くなると、投資家たちがどこかざわついて、
資産の行き先を探して右往左往する——。

そしてビットコインは、そんな人々の感情を
もっとも敏感に映し出す資産のひとつなんですよね。

本記事では、

  • 円高になるとBTCはどう動きやすいのか
  • 円安はBTCを“本当に高くしているのか”
  • 日本人投資家だけが得しやすい“買い増しタイミング”とは何か

これらを“データ”と“心理”の両方から、やさしく、深く、噛み砕いていきます。

もし今、あなたが
「円安で高く感じて買えない…」
「円高だけど本当にチャンスなの?」
と迷っているなら——
今日のこの記事が、あなたの投資基準をひとつ強くしてくれるはずです。

さぁ、一緒に“数字の奥にある物語”を見に行きましょう。

  1. 第1章 なぜ“ドル建てBTC × 為替(ドル円)”で円建てビットコインはこんなに変わるのか
    1. 円建てビットコインの価格は、たった1つの式で説明できる
    2. 円高だと“セール”、円安だと“割高”に見える理由
    3. 初心者が見落とす最大の罠「円建てで高い=BTCが高い」と思い込むこと
    4. 投資の判断軸が変わる:「BTCが高い?円が弱い?どちらが原因?」と考えるだけで世界が変わる
  2. 第2章 過去10年以上の「為替 × ビットコイン」──歴史と最新相場が示す“円高・円安のリアルな影響”
    1. 2017年:BTCバブル × 円はまだ強かった(円高寄り)
    2. 2020年:コロナショック —— BTC暴落 × 円高(最強クラスの買い場)
    3. 2021年:BTC史上最高値 × 円安がスタート(円建てが異次元の高さへ)
    4. 2022〜2023年:BTC調整 × 歴史的円安で“底値感が消える”異常な数年
    5. 2024〜2025年:BTC回復 × 円安高止まりで“高く見えるのに買われる”構造が定着
    6. つまり:2017〜2025年まで通して一貫している法則はこれ
  3. 第3章 円高・円安で投資家の心理はどう動く?──“市場を動かすのは数字ではなく、人の感情”という話
    1. 円安が進むとき、投資家の心は“防衛本能”で動きはじめる
    2. 円安のとき、BTCが“割高でも買われる”理由
    3. 一方で、円高のときの心理は“慎重さ”が前面に出る
    4. 円高 × BTC安はなぜ“有利な買い増しポイント”になりやすいのか?
    5. 【免責事項】

第1章 なぜ“ドル建てBTC × 為替(ドル円)”で円建てビットコインはこんなに変わるのか

ビットコインを円で買っている私たち日本人にとって、
もっとも大切なのに、意外と抜け落ちがちな前提があります。

それは——
“ビットコインの本体価格はドルで決まっている”という事実。

どんな取引所で買っても、
画面に表示される「円建てのBTC価格」は
世界標準のBTC/USD(ドル建て価格)
“日本円に換算したもの”に過ぎません。

だからこそ、
表向きには BTC のチャートが動いているように見えても、
裏側では「ドル」と「円」の強さが常に綱引きしているんです。

円建てビットコインの価格は、たった1つの式で説明できる

1BTC(円建て)= BTC/USD × ドル円レート

この式だけで、ほぼすべてが説明できます。

例えば…

  • 1BTC = 30,000ドル
  • 1ドル = 150円(円安)

なら → 30,000 × 150 = 450万円

同じBTCでも、もし為替が円高になって

  • 1ドル = 130円

なら → 30,000 × 130 = 390万円

BTC本体はまったく同じ価格なのに、
円建てでは60万円も差が出る。

ここがまず、円建て投資家が必ず理解すべきスタート地点です。

円高だと“セール”、円安だと“割高”に見える理由

  • 円高(=円が強くなる)
    → 同じドル価格のものをより安く買える
  • 円安(=円が弱くなる)
    → 同じドル価格でも高く買わされる

こう聞くと当たり前のようですが、
実際の相場だと、この“当たり前”が大きな落とし穴になる。

なぜなら、私たちはしばしば
「円建てチャートだけ」を見て投資判断をしてしまうから。

初心者が見落とす最大の罠「円建てで高い=BTCが高い」と思い込むこと

たとえば、ビットコインが

  • ドル建てでは横ばい

なのに、

  • 円が弱くなって円安になる

とどうなるか?

円建てBTC価格だけが“勝手に”上がる。

つまり、
BTCが強いのではなく、“円が弱いだけ”というシーンが普通に起きます。

逆に円高局面では、

  • ドル建てはそこまで下がっていないのに
  • 円高で円建て価格が大きく下がる

ということもあります。

投資の判断軸が変わる:「BTCが高い?円が弱い?どちらが原因?」と考えるだけで世界が変わる

相場は“結果”しか見せてくれません。
でも投資家が見るべきは“原因”。

この「原因の切り分け」ができるだけで、
あなたの投資判断は一段深くなります。

  • 今の高値は、BTCが本当に高い?
  • それとも、円安で“割高に見えているだけ”?
  • 暴落は、BTCが崩れている?
  • それとも、円高で“お得に見えるだけ”?

この視点を持つだけで、
焦りも、誤解も、だいぶ減っていくはずです。

ここがポイント(第1章)
・円建てBTC=「BTC/USD × 為替」という非常にシンプルな構造
・同じ1BTCでも、円高なら安く、円安なら高く見える“錯覚”が生まれる
・円安局面での高値掴み、円高局面での買い控え——これらは為替を理解すると防げる
・「BTCが高いのか? 円が弱いのか?」という問いが投資判断を変える
私の考察(第1章)
ビットコインのチャートが上向いていると、「やっぱり強いな」と思ってしまいがちです。でも、冷静に分解してみると、それは“円の弱さ”が作り出した幻想の場合もあるんですよね。

逆に、チャートが下がっている場面でも、ドル建てでは大した下落じゃないこともある。円高が強烈に効いていただけ…なんてことも珍しくありません。

だから私は、投資初心者の方ほど「円建てだけで判断しないでほしい」と思っています。BTCを買うということは、同時に“円という通貨の価値”とも向き合うこと。

仕組みを知るだけで、投資の景色はガラッと変わります。ここから先の章では、その“景色の変わり方”を具体的な10年以上の歴史で、じっくり一緒に見ていきましょう。

第2章 過去10年以上の「為替 × ビットコイン」──歴史と最新相場が示す“円高・円安のリアルな影響”

為替とビットコインの関係は、
頭で理解するより「数字で並べてみる」ほうが100倍早いんですよね。

ここでは、2017年〜2025年までの円高・円安とBTCの動きを、
“感情の揺れ”とセットで追体験していきます。

結論からいうと、歴史が長くなるほど答えはクリアになります。

「円高 × BTC安」= 日本人にとって“有利な買い場”
「円安 × BTC高」= “割高に見えてしまう心理トラップ”

この構図は、2025年の今も変わらず続いています。

2017年:BTCバブル × 円はまだ強かった(円高寄り)

  • BTC:約19,140ドル
  • ドル円:約112.7円
  • → 円建て:約215万円

2017年末、あの“初めての大バブル”。

実はこの時、円はまだそこそこ強かった(=円高気味)。
だからドル建てで大暴騰していても、円建ての上昇は比較的マイルド。

円高 → 割安効果
BTC爆騰 → 割高効果
この相殺が起きていたのがポイントです。

2020年:コロナショック —— BTC暴落 × 円高(最強クラスの買い場)

  • BTC:約5,563ドル
  • ドル円:約107.7円(円高方向)
  • → 円建て:約60万円台

世界が止まり、恐怖が市場を支配した瞬間。

BTCは暴落。
円は“安全資産”として買われ、強烈な円高。

つまり、

BTCの大下落(ドル建てが安い)

円高(円換算も安い)

“二重の割安”が同時に成立

日本人にとって歴史的な買い場でした。

2021年:BTC史上最高値 × 円安がスタート(円建てが異次元の高さへ)

  • BTC:約69,000ドル(史上最高値)
  • ドル円:約114円(円安方向)
  • → 円建て:約780万円前後

ドル建てで過熱した相場に対し、円安が加速。
円建てBTCは想像以上に跳ね上がり、日本だけ“別世界の価格”になりました。

円安がさらに進めば、
69,000ドル × 150円 = 1,035万円

日本人が「BTC1000万円」の景色を見るのは、
BTCが強いからではなく“円が弱いから”でもあるわけです。

2022〜2023年:BTC調整 × 歴史的円安で“底値感が消える”異常な数年

このタイミングは、多くの日本人投資家が違和感を覚えた期間でした。

  • BTCは16,000〜30,000ドルへ調整(ドル建てでは大幅下落)
  • ドル円は130〜150円台へ急上昇(歴史的円安)

本来であれば「円建てでめちゃくちゃ安く見える」局面のはずが、

円安による“割高補正”のせいで、円建てBTCがそこまで下がらない。

つまり、
BTCは下がっているのに、
円建てで見ると“割安感が弱い”という逆転現象が起きました。

これは日本人特有の「底値の実感が持てない」状態を生み、
多くの投資家が買いにくさを感じていた時期でもあります。

2024〜2025年:BTC回復 × 円安高止まりで“高く見えるのに買われる”構造が定着

2024〜2025年にかけて、BTCはゆっくり回復していきましたが、
もうひとつの特徴はこれです。

円安が高止まりしたまま。

  • BTC:おおむね40,000〜70,000ドル帯で推移
  • ドル円:140〜155円帯での高止まりが目立つ

その結果、円建てでは、

  • 調整しているはずのBTCが“あまり安く見えない”
  • 少し上がるだけで“高値更新みたいに見える”
  • 心理的に「今買うのは遅いかも」と感じやすくなる

しかし実際には、
ドル建てと円建ての乖離が大きすぎるだけなんです。

つまり:2017〜2025年まで通して一貫している法則はこれ

データを10年以上遡っても、そして最新相場まで含めても、
結論はクリアです。

ここがポイント(第2章)
・2017年は「BTC高騰 × 円の強さ」で過熱が抑えられた
・2020年は「BTC暴落 × 円高」で“二重の割安”が発生
・2021年は「BTC ATH × 円安」で円建てが異次元の高さに跳ね上がった
・2022〜2023年は「BTC調整 × 歴史的円安」で“底値感が薄れる”特殊な局面に
・2024〜2025年は「BTC回復 × 円安高止まり」で、日本人だけ“高く見えやすい”市場構造に
・10年以上の動きを通しても、円安はBTCを“高く見せ”、円高は逆に“お得に見せる”構造は不変
・累積データが示す答えは「円高 × BTC安は、日本人にとって一貫して有利な買い増しポイントになりやすい」
私の考察(第2章)
数字を追っていくと、相場の“人間らしさ”が本当にくっきり見えてきます。

2022〜2024のように円安が極端に強い時期は、
「ドル建てでは安いのに、円建てでは割安感がない」という不思議な世界が生まれます。

多くの日本人投資家が「底値で拾えている実感が持てない」まま時間が過ぎ、
気づくとBTC価格が戻っていた——そんな声を私はたくさん聞いてきました。

でも、この“ズレ”こそがチャンス。
為替の理解がある人だけが、そのズレを利益に変えられるんですよね。

歴史を10年以上見ても、そして最新の相場を見ても、
やっぱり答えは同じ方向を指しています。

「円高 × BTC安」こそ、日本人がもっとも強くなれる場所。

この視点さえあれば、相場の雑音に振り回されず、
あなた自身のリズムで投資を続けられるはずです。

第3章 円高・円安で投資家の心理はどう動く?──“市場を動かすのは数字ではなく、人の感情”という話

為替が動くと、チャートだけでなく人の心理が大きく揺れます。

そして投資とは、
「数字 × 心」の掛け合わせでできているもの。

ここでは、円高・円安が起きた時に
市場参加者の心が“どう動くのか”を理解していきます。

この心理がわかると、
あなた自身の投資判断もブレにくくなり、
ニュースにも振り回されなくなります。

円安が進むとき、投資家の心は“防衛本能”で動きはじめる

円安は、言い方を変えれば
「日本円の価値が下がっている」状態。

これは、多くの日本人にとって
じわじわと“恐怖”を呼ぶ現象です。

  • 海外旅行や輸入品の価格がどんどん高くなる
  • ガソリンや食料品の値上がりが生活に直撃する
  • 「円だけで貯金していて大丈夫?」という不安

この心理から、
「他の資産に逃がしておこう」という防衛行動が働きます。

そこで買われやすいのが、ここ数年で言えば、

  • 米国株や全世界株インデックス
  • ゴールドなどのコモディティ
  • そしてビットコインなどの暗号資産

2022〜2025年の長い円安トレンドは、まさに
多くの人が“逃げ道を探し始めるタイミング”でもありました。

円安のとき、BTCが“割高でも買われる”理由

本来であれば、
割高感がある資産は敬遠されるはずです。

でも円安時には、

“割高でもいいから、とにかく円以外に逃げたい”
という心理が働きます。

結果として、
ドル建てでは横ばい、あるいは少し下がっていても、
円建てBTCだけが跳ね上がる現象が起こります。

BTCが上がっているように見えるけど、
実は「円が弱っているだけ」というシナリオも多い。

とくに2024〜2025年のように、
「BTCは回復途中 × 円安は高止まり」という状況では、
円建てチャートだけを見ると“常に高く見える”という歪みも生まれます。

円安局面での高値掴みが起きやすいのも、
まさにこの心理が原因です。

一方で、円高のときの心理は“慎重さ”が前面に出る

円高は、世界がリスクオフになり、
“円という安全資産”が買われているときに発生します。

投資家の心理は…

  • 「大きな買い物はちょっと怖い」
  • 「しばらく様子を見よう…」
  • 「現金(円)を増やしておこう」

という“守り”に入る傾向が強いです。

ここが面白いところで、
実はこここそが“絶好の買い場”になっていることが多い。

でも心理的には

「怖い」
「さらに下がるかも」

と感じやすいので、
ほとんどの人が手を出せません。

結果として、
“安く買える人はごくわずか”という構図になります。

円高 × BTC安はなぜ“有利な買い増しポイント”になりやすいのか?

理由はシンプルです。

  • 円が強いため、BTCが円換算で割安になる
  • リスクオフでBTCが下がりやすい(ドル建てでも安くなりがち)

“二重の割安”が発生する

しかも、
人々は恐怖で動けない。

つまり、
割安 × 参入者が少ない = 長期投資家にとっては有利な仕込み場
となるんです。

市場の本質はいつだって同じ。

「怖いときほど、チャンスは近くにある。」

これを覚えておくだけで、
長期投資の成果は大きく変わります。

ここがポイント(第3章)
・円安は「円の価値低下」→ 投資家が“防衛本能”で資産を移したくなる
・その結果、BTCが割高でも買われやすい心理が発生しやすい(とくに2022〜2025に顕著)
・円高は「安全資産としての円」→ 投資家が守りに入り、BTC買いが鈍りやすい
・実は“買い場”は円高 × BTC安のときに多いが、心理的にはもっとも手を出しにくい
・心理を理解する=ニュースや噂のノイズに流されない投資力に繋がる
私の考察(第3章)
相場は、人の不安で動き、人の欲で動きます。
ディーラー時代も、暗号資産アナリストになってからも、この“感情のうねり”が値動きを形作っている場面を何度も見ました。

円安になると、日本人は「円で持つのが怖い」という心理が働きます。
だから、たとえ高くてもビットコインやドル資産を買ってしまう。

逆に円高の時は、「守り」に入りたくなる。
でも、その“守りたい心理”こそが、相場にとっては“買い場のサイン”だったりする。

市場の声より、数字より、大切なのは自分の心理を観察することなんですね。
感情に気づける人ほど、長く勝てると私は思っています。

ちょっと長くなってしまったので、一旦文章を区切ります。
続きは次の後半記事で。どうぞ、お楽しみに(*^^*)

【免責事項】

本記事は、投資に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。
暗号資産や為替相場は大きく変動する可能性があり、元本割れのリスクがあります。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。

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